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グッドモーニング大阪 それは、亜侠向けの情報を海賊放送するラジオ番組である。 それに対抗してグッドナイト大阪という情報雑誌を作っている依頼人が目の前にいる。 まったくもって聞いたことが無い雑誌だが、依頼人が言うにはネタが尽きたらしく、なんとかして雑誌の白紙を埋めて欲しいとのことである。 つまり、ネタをムリヤリ作れってことだ。 君たち亜侠は情報収集をして、ネタとなりそうなものを探し回ることになる。 その中には悪人をこらしめたり、装甲十字軍と野原で決闘なんかもあるわけだが、グッドナイト大阪は影ながら見守るので存分に暴れて大丈夫。 君たちの活躍次第で、今後のグッドナイト大阪の運命が変わるかも? 名前 コメント すべてのコメントを見る
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わ わ ・ワールドサッカーウイニングイレブン ユビキタスエヴォリューション 2008 ・ワールドサッカー ウイニングイレブン 2009 ・ワールドサッカー ウイニングイレブン 2010 ・ワイルドアームズ クロスファイア ・湾岸ミッドナイト ポータブル
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グッドナイト、スイートハーツⅢ ◆LXe12sNRSs 第三回放送で告げられた死者の数は17名。 その中に剣持勇の名があったのはもちろんとして、もう一人、この時点で呼ばれるはずのない名が混じっていた。 金田一一。 名探偵金田一耕介の孫にして、『地獄の傀儡師』の犯罪を見抜いた唯一の知恵者にして宿敵が、死んだ。 名を耳にした瞬間、高遠遙一を揺るがした感情は、落胆である。 自らが企画する、殺し合いを舞台にした芸術的犯罪。そのメインたる役者が、舞台に上る前に退場してしまった。 この緊急事態に、脚本家にして監督たる男はなにを思うか。当然のごとく落胆だ。それしかない。 (金田一君、そしてキール……おそらくは、アレンビー・ビアズリーが彼を迎えに行った際に、既に事は起きていたのでしょう。 キールはそれに巻き込まれ、アレンビーはどうにか逃げ果せた、というところでしょうか。 論理を武器として修羅場を潜ってきた少年探偵も、暴力の世界では形無しというわけですか……フッ) ミリア殺害後、高遠は放送の内容を反芻しながら船内を渡り歩いていた。 金田一一……地獄の傀儡師としての初犯、魔術列車殺人事件を見事に看破して見せた少年探偵。 幻想魔術団に対する復讐のつもりで起こした犯罪は、金田一という存在の出現で、高遠に新たな情熱を齎した。 それこそが、芸術的犯罪の追及。金田一にも暴けないような完全犯罪を成し遂げるという、崇高な目的を持つようになった。 だが、当の宿敵が先に死亡してしまっては……すべて台無しではないか。 ミリアの殺害も、豪華客船の出航計画も、高遠の現在の役割も、なにもかも無為に消えてしまう。 ――仕切りなおすべきか。 高遠は歩きながらに思案する。やりがいをなくした背中で、トボトボと。 そもそも、なにを成して芸術的犯罪は完成されるというのか。 全標的の殺害ではない。事件自体の迷宮入りでもない。探偵の完全敗北である。 真相を知る者は己のみ。他者に与えるのは永遠の謎。全てが己の術中。コンプリートしての芸術。 なのに。大根役者しかいない舞台上で、一人際立ってどうするというのか。どうもしない、虚無感が漂うのみだ。 敵のいない場で全てが思い通りに運んだとしても、なんら楽しくはない。 スポーツと同じようなものだ。ライバルがいなければ燃えない。 高遠にとって、名探偵金田一一の存在はそれだけ大きかった。 (……残念。と割り切る他ないでしょうね、これはもはや。 死者は蘇りはしない。我が宿敵は潰えた。ならば、代役を立てるしかない。 生き残っている者でそれが務まる人物といえば、明智警視。そして……) 高遠の脳裏を、冷たい声の少年がよぎる。 チェスワフ・メイエル。あの少年らしからぬ少年は、金田一の代役として務まるかどうか。 (彼がただの子供でないことは既知しています。彼の挑戦を受けた以上、その素性もいずれ。 ですがチェス君、あなたにはその前に、私の挑戦を受けてもらうとしましょう。 剣持勇、ジェット・ブラック、そしてミリア・ハーヴェント連続殺人事件……あなたにこの謎が解けますか?) 既に死亡している剣持勇。放送では呼ばれなかったが、今頃は殺されているだろうジェット・ブラック。 そして、つい先ほど高遠自身が手にかけたミリア・ハーヴェント――彼女を第三の被害者に選んだ理由は、三つある。 ひとつ、彼女が役者として非常に危険な人間であったため。 ふたつ、彼女が惨劇の被害者として非常に魅力的であったため。 みっつ、高遠自身に疑心を植えつけるため。 まず一つ目。 恋人が生きているのか死亡しているのかも定かではない状況で別離を強いられている、 という特殊な境遇を持つミリアに関して、高遠は新たな人形候補になるのではと企み、実行してみた。 恋人の喪失というこの上ない闇を抱える少女、地獄の傀儡師として囁きかければ、大抵は外道に落ちる。 だが根本的問題として、ミリアは闇など抱えていなかったのだ。 彼女が抱いていたのは光。希望という名の、決して暗くはならない光だった。 驚くべきはその驚異的な精神力。恋人との永遠の別れという確固たる事実を、まったく信用しない。 どころか、チェスの明らかな虚報を心の底から信じ、そこから希望を見い出している。 常人であれば、でもひょっとしたら……と、僅かながらでも悪い方向に考えを持つ。 ミリアにはそれがないのだ。数で言えば100、アイザックの生存を信じきっている。 この時点で、彼女は傀儡には成り得ない。殺人教唆は、心の脆弱な者を前提としているからだ。 そして肝心なのが、高遠の常識で考えれば、このような強靭な精神力の持ち主は存在し得ないということである。 常識の範疇に存在しない、それすなわち存在自体がイレギュラーであり、どんな行動を起こすか予想がつかない。 操れず、また行動予測もできない人物を舞台に立たせるなど、危険すぎる。 脚本を無視して急に舞台で暴れ出す可能性とてありえるのだ。 そうなるくらいならば、役者ではなく舞台装置の一つとして活躍してもらおう。 と、これが高遠の出した結論である。 続いて二つ目。 ミリアの性格は、良く言えば楽観的、悪く言えば馬鹿な、つまりはそれくらい飛びぬけて明るい。 決して自分が悲劇に見舞われるなどとは思っていないだろう。また周囲の人間からも思われにくい。 惨劇から極めて遠い場所に立つ人物、平和の住人を逆に惨劇の中心に立たせてこそ、意外性がある。 まさかあんなにいい人が亡くなるなんて……という弁は、報道番組での定番だ。 死から一番かけ離れた人間であるからこそ、いざ被害者になったときに輝く。残された者の悲痛や驚きもより強調される。 そういう意味では、ミリアはまさにうってつけ。作り出す被害者として、魅力的なのだ。 これに一つ目の理由も合わせれば、ミリアはまさに適任。選ばれて当然の役柄だった。 ただし、なにもこのタイミングで殺す必要性はない。 被害者として相応しい程度の理由では、もちろん高遠も機を待っただろう。 彼に計画を早めさせたのは、三つ目の理由、もとい利点が原因である。 最後となる三つ目。 高遠は元々、ミリアと二人きりという容疑者として怪しむには十分な境遇に置かれていた。 その上でミリアが殺害でもされようものなら、疑いの目は当然彼女と一緒にいた人物、高遠に向くだろう。 しかし時として、怪しすぎる状況証拠は混乱を招く。 殺人犯という肩書きを事前に自ら示し、既に別の死者も出ている、その間に築かれた新たな死体。 これらを照らし合わせても、高遠は怪しすぎる。消去法でいくなら間違いなく犯人だろうが、証拠がない。 証拠を提示しなければ事件は解決したとは言えず、疑心は永遠に残る――本当にそうなのだろうか? と。 とはいえ、高遠は完璧なアリバイを作ったわけでもなく、殺害方法に奇抜なトリックを使ったわけではない。 だが、証拠はなにも残していない。いや、正確に言えば、他の者は証拠が証拠と認識できないのだ。 たとえば今回のようなケース、刺傷による殺人事件が起きたとして、考えられる証拠はどのようなものか。 凶器から摘出される指紋、犯人にこびりついた血痕、ダイイングメッセージ等だろうが……この場合、それらは証拠となり得ない。 なぜならば、環境が特殊すぎるからだ。この殺し合いという舞台自体、犯罪者にとっては有利すぎるフィールドなのだ。 仮に高遠が凶器として使用したスペツナズナイフ。これに指紋が残されていたとしたら、物的証拠になる。 しかし高遠はそんなヘマはしないし、そもそも誰がどうやって指紋を識別するというのか。 それこそが、この環境最大の利点。法はもちろんのこと、鑑識や捜査機関の不在。 証拠を証拠として成立させる手段が、この会場には存在しないのだ。 中には明智やジェットといった本職もいるが、彼らとてすべてを担えるわけではないだろう。 ミリアの殺害にしても、高遠は指紋を残さぬようナイフの柄をハンカチで握り、 刺す際にも返り血を浴びにくい背中を、それも密着状態で貫いた。 証拠と成り得るナイフは自らが持っていた分全てをミリアのデイパックに移し、現場に放置してきた。 指紋隠蔽のためのハンカチは海に捨て、腕に返り血がついていないことも確認済み。 仮にここが捜査機関の充実している現実の世界だとしても、まず物的証拠は残っていない。 証拠がなければ、高遠はただ怪しいだけの容疑者に納まり、犯人にはなり得ない。 しかもこの場合、下手に捜査を進めれば、凶器と思しきナイフを持つ者として、ティアナにも容疑がかかるだろう。 が、それも結局は証拠となり得ない。捜査する側の混乱をさらに加速させるだけだ。 もちろん、このような環境の利ばかりに頼った犯罪を、自らが目指す芸術の達成とは思わない。 全ては金田一が到着するまでの布石及び前座……のつもりであったが、その金田一が死亡してしまっては仕様がない。 この脚本を一時的にメインに据え、チェスが探偵役足りえるかを判定するとしよう。 (と、噂をすれば影、ですか) 道行く高遠の前方、なにやら慌てた様子のチェスが駆け寄ってくる。 高遠はガッシュがいないことに訝しげ、しかし脚本どおり演技に入る。 「お兄さん! どうしてここに!? お姉ちゃんは一緒じゃないの!?」 呼気荒く詰問してくるチェスに、高遠は同じような慌てぶりを演じつつ接する。 「君こそ、ガッシュ君はどうしたんです? まさか、彼もミリアさんと同じように?」 「同じ……? 同じようにって、ねぇそれってどういうこと!?」 スーツの裾を掴み、ぐいぐいと引っ張るチェス。よほどミリアが心配と見える。 話によれば、彼はこの殺し合いが始まる以前からミリアと親交があったらしい。 ならばそれも当然か、と高遠は心中で苦笑する。 「落ち着いてくださいチェス君。彼女はつい先ほど、私の下から消えてしまったのです。剣持警部と同じように」 「消えた!? 消えたって!?」 「手洗いに立った直後でした。二人とも離れるわけにはいかず、私は食堂室に残っていたのですが…… たかが手洗いと思い、油断してしまったのが失敗でした。彼女はいくら待っても戻ってこなかった。 仕方がなく、こうやって探していたのですが……先ほどの放送は聞きましたね?」 「うん。剣持さんが……死んじゃってた」 チェスの視線が伏し目がちになる。ひょっとしたらミリアも……と思っているのだろう。 本性は謎だが、やはり本質は子供か。と高遠は少しだけ冷めた気持ちになる。 「何者かが、私やガッシュ君の隙を見て剣持警部を誘拐……そして殺害したと考えられ――」 「おーい! ヨーイチィー! チェスく~ん!」 剣持死亡の事実に対して、高遠がもっともらしい推論を提示しようとしたところで――思わぬ声が届いた。 ギョッとなり、後ろを振り向く。 そこには、笑顔のミリア・ハーヴェントが立っていた。 (――まさか。いや、そんな馬鹿な!?) 高遠の内面に、衝撃が走る。 金田一にトリックを暴かれた際のそれを遥かに凌駕する、まさかの驚愕が、一瞬だけ彼に冷静さを失わせた。 隠せない動揺に、ミリアやチェスが気づかない様子だったことだけが幸いか。 「お姉ちゃん! どこに行ってたの? 二人で心配してたんだよ」 「ごめんね~チェスくん。実はヨーイチが……あ、でもこれって言っていいのかなぁ。う~ん」 喜びながらミリアの側に駆け寄っていくチェス。それを受け止めるミリア。 高遠一人、動けない。驚愕がいまだに身を拘束する。 確かに殺したはずだ。即死ではないにしても、あの状況下で助かるはずなどない。 ましてや、このような平然と笑顔を振りまける状態になど。 高遠は殺人教唆こそが本領であるが、殺傷行為自体が不得手というわけでもない。 殺しの技法、遺体の処理、証拠の消し方、すべてにおいてプロフェッショナルだ。 環境の利があるこの舞台で、高遠自身が働く殺人に限定すれば、絶対に暴かれることはない。 その完璧なる前提が、殺人失敗という最もありえない結果として覆される。 いや、これではむしろ蘇りだ。 (蘇り……? そうか、まさか) 高遠が殺人を仕損じる唯一の可能性。そんなものがあるとすれば、それは高遠の思考が及ばぬ『未知』の介入に他ならない。 たとえば、ティアナの魔法という『未知』。 ミリアが高遠によって殺された後、魔法のようなもので蘇生、もしくは超回復を遂げたとは考えられないだろうか。 いや、ない。ミリアがそんな異能者である素振りはなかったし、だとすれば再会と同時に刺傷の件を糾弾してくるはずだ。 このミリアはいたって平静。出会った当初と変わらぬ笑顔でいる。 まさか、高遠が刺したことに気づいていない、もしくは知らないとでも言うのか。 だとすれば、このミリアは何者かが変装した姿とも考えられるのではないか。 ではいったい誰か。体格からしてジェットやガッシュはありえないし、高遠も把握していない侵入者か。 だとすれば危険だ。なにが目的かは知らないが――と。 「なにがあったの? ボクにも教えてよ」 「う~ん、まぁいっか、いいよねヨーイチ? あのね、これはチェスくんもビックリな事実だと思うんだけど……」 普段は陥らない、そもそもが初めてな異常事態に直面したせいか、高遠は事態の究明に没頭した。 それが、ミリアに真実を語らせる隙を与えてしまう。 「ヨーイチは、アイザックと同じポロロッカ星人だったんだよ~!」 気づいたときには、もう遅い。 饒舌なミリアの語りは、瞬く間にチェスへと伝わっていく。 高遠の位置からは、チェスがどんな顔でそれを聞いているのか窺えない。 ただ背後から感じる気配だけで、高遠は冷や汗を流した。 この少年に、自身がミリアについた嘘が伝わることが、とても不味いことであるように思える。 率直に言えば、嫌な予感がしてたまらないのだ。 「でね、殺されたー! って思ったんだけど、ヨーイチも凄腕の手品師でぇ――」 「……うん。そっか! そうだったんだね!」 背を向けたまま、チェスの屈託のない言葉だけが届く。 既に、高遠がミリアを刺したというところまで伝わった。 ミリアはそれを手品だと認識しているようだが、 「ねぇお姉ちゃん、実は上でガッシュが大変なことになってるんだ。先に行ってあげてくれない?」 「え? でもチェスくんは? それに、あの、ヨーイチに告白のことについて――」 「ボクはお兄さんと一緒に後で行くから! だから、お姉ちゃんは先に行って!」 チェスは、おそらくそう思ってはいない。 厄介払いをするようにミリアを甲板へと送り出し、チェス自身はこの場に残る。 立ち尽くす高遠はなにも喋らず、チェスも振り向かない。 静寂のまま、少しばかりの緊張が続く。 やがて、均衡はチェスのほうから破られた。 「――さて、やってくれたな若造」 凍てついた、仙人のような声。 声質の高低は子供のそれなのに、纏う空気がまるで違う。 子供でありながらに子供ではありえない風格が、チェスの身を包む。 「どうして? なんで? なにがなんだかわからない……って言いたげだね」 かと思ったら、また子供の声調を取り戻し、無邪気に喋り出した。 ただし、いまだに振り向かない背中から発せられる空気は、重い。 「まぁ無理もないだろう。このような悪魔のいたずら、貴様に想定できるはずもない」 また、声質が変化した。 「ボクもビックリだよ! まさかミリアお姉ちゃんもそうだったなんて!」 変化。 「もっと早くに気づくべきだった。アイザック・ディアンがそうなら、彼と常に一緒にいた彼女もまた、そうであってもおかしくない」 変化。 「でも、結果オーライだね!」 まるで子供と大人が交互に喋っているように、言霊を自在に変化させていく。 一流の俳優ならば、声の演技一つで全身が纏う雰囲気や印象を変えることも可能かもしれない。 だがチェスのような子供が、大人の本性を宿すなど、技術的に考えてありえない。 もしやチェスは天才的な子役なのか、もしくは、 (チェスワフ・メイエルの本性……!) この、子供らしからぬ風格こそ――チェスの本当の姿なのではないか。 「ああ、なんせ彼女のおかげで、私たちを謀ろうとした化け狐の皮を剥げるのだからなぁ!」 高遠がチェスの正体を薄らとだが理解し、恐怖を覚えたときにはもう遅い。 眼前のチェスは躊躇いのない動作でデイパックからアゾット剣を抜き取り、振り向く。 小悪魔の形相だった。子供らしい小さな顔面に、醜悪な笑みを宿す。特殊メイクかなにかと誤解してしまいそうなほど。 触れてはならぬものに触れてしまったのかもしれない、と高遠は思い、竦みそうになる。 だが、これまでに立ち向かったことのない種の恐怖が、逆に高遠の闘志を燃え上がらせた。 天才や完璧主義者ほど不意打ちには弱いものだが、高遠は曲がりなりにも殺人鬼、命のやり取りは得意分野である。 習性で、体が動いた。 万が一襲撃者に襲われた際対処できるよう忍ばせておいた一本限りのナイフを、バックベルトから抜き取る。 アゾット剣を握りながら駆け寄ってくる童顔の悪魔に、高遠は人間らしく、怯えを持ったまま対抗した。 リーチはナイフよりも剣、しかしチェスと高遠の腕の長さを考慮すれば、有利なのはこちら。 チェスの剣技のほどが知れない。迂闊に刃を射出するのは危険か。 ならば裂傷の一つや二つは覚悟して、確実に、零距離でチェスを殺しに行く。 刹那の策略が廻り、高遠も駆けた。 先手を仕掛ける。 肘を後方に引き、握ったナイフごと一直線に突き出す。 チェスはそれを、剣の握り手とは逆、左手を翳すことで防御する。 叩き落とすつもりか。いや違う。掌を盾にしようとしている。 浅はかな。スペツナズナイフの切れ味を侮っているのか。好都合。 高遠は構わず、チェスの左手に刺突を繰り出した。 刃が触れ、チェスの指を三本、切り落とす。 だが、チェスは怯まない――!? (なっ――) 指が落ちたことなど気にも留めず、小悪魔の形相をそのままに、チェスは高遠に剣を振った。 小柄な体型から、刃の重量を乗せた斬撃が放てるわけもない。攻撃の形は、高遠と同じく刺突だった。 アゾット剣の先端が、高遠を抉る。 「…………っぐ」 二者の衝突が終わり、その場に停止した。 高遠とチェス、零距離のまま向かい合って立つ。 遠くから見れば、抱き合っているようにも思える光景。 それは、間近で見れば奇観以外のなにものでもない。 苦渋の顔を浮かべる高遠。歯をむき出しにして笑うチェス。 高遠の腹部から生える剣。その柄を握るチェス。 ぽたっ、ぽたっ、と零れる鮮血。これも高遠の腹部から。 チェスの手によって、剣が抜かれる。 高遠の体が、崩れ落ちた。 「……クク、ククククク……はははっ、あーはっははは……アー……クソ! クソッ! クソォ! 本当に、本当にやってくれたなぁ高遠遙一! 狐風情が、おまえのせいで滅茶苦茶だ! おかげでまた『チェスワフ・メイエル』に逆戻りだ。もうあんな生き方はしないと決めたのに…… ミリアお姉ちゃんを、二人を守るために、ボクはまた昔の私に戻ってしまった!」 仰向けの体勢から、チェスの言葉を聞く。 狐というのは、チェスたちを謀ろうとした高遠のことを言っているのだろう。 一人称を『ボク』と『私』で使い分けていることには、なんの意味があるのだろうか。 チェスワフ・メイエルに逆戻りとは、いったいどういうことなのか。 わからない。失血によるショックか、高遠の朦朧とした意識はなにも導き出せないでいる。 ただ、視覚に映し出されるありえない光景だけを捉えた。 切り落としたはずのチェスの指計三本。 床に散らばったその指が、返り血と共に帰還していく。 チェスの脚を登り、胴体を登り、肩を経由して、左腕を降り、左手に舞い戻る。 そして元の鞘に納まった――再生したのだ。切り落とされたはずの指が、独りでに動いてくっついた。 物理現象としては100パーセントありえない。しかし、ああだからか、と高遠は逆に納得する。 チェスの正体は、ティアナと同じ。おそらくはミリアも。 高遠の理解が及びつかぬ、それゆえに予測もできなかった、未知。 それこそが、チェスワフ・メイエルに抱いていた畏怖の正体なのだと、薄れゆく意識の中で思い知らされた。 「チェス、ワフ、メイ、エル……あなたは、いったい」 「……ふん。結局貴様は、自分の手で真相をつかむことはできなかったな。 だが、こっちはまだ貴様に死なれちゃ困るんだ。だから急所はわざと外した。 まぁ、身長差が主な原因だが。それよりも、もう一働きしてもらおうか。貴様の計画の後始末を。 貴様が知りたがっている謎は……そうだな、道中でゆっくり聞かせてやる」 そう言ってチェスは高遠の髪を掴み、乱暴に引きずり出した。 腹に覚えるズキズキとした痛みの中で、高遠は予感した。 これから、私は地獄を見る――と。 ◇ ◇ ◇ あ~……もうウンザリ! そりゃ、ファイターにとってライバルってのは大切な存在だけどさ……あんなのいらないって。 でも、めぐり合わせちゃうんだよねぇ、なぜか。 因縁? 宿命? 運命? ――ううん、そんなの信じないよアタシ。 ◇ ◇ ◇ 時計の針は真南、六の数字を回り、空もそれ同様に闇を纏い出す。 夜景が一望できる甲板上、燃え盛る炎のせいで夜というにはまだ明るい舞台を、三人が立つ。 いずれも、視線は空に向いていない。それぞれ、今しがた終了したばかりの放送について考えていた。 「ウヌウ……勇にキール、それに金田一までもが……」 「状況は最悪ってわけだ……しかもついにエドまで……くそったれ」 剣持勇の名が呼ばれたことにより、彼の失踪が殺人事件であるという裏づけが取れてしまった。 金田一一というのは、高遠が話していた迎えるべき少年の名だ。彼の死で、高遠がなにを思うのかまでは想像できない。 エド、というのはあのなんたら四世というやたら長ったらしい人物のことだろうか。どうやらジェットの知人らしい。 しかし、そんな他者の嘆きよりもまず、ティアナにとっては、 「……………………え?」 スバル・ナカジマ。 唯一無二の親友にして、苦楽を共にしてきたパートナーの消失が、胸を打った。 「うそ、う、そ」 遠雷のような声がスバル――と告げて、まずティアナの視界は真っ白になった。 矢継ぎ早に呼ばれた八神はやての名もまた、彼女の意識を飛ばす追い討ちとなる。 ティアナが夢を追い求めた場所、時空管理局機動六課。 夢に向かって駆ける歩幅を、一癖も二癖もある相棒と一緒に調整してきた。 八神はやてはそんな二人を導いてくれる、心優しい女性であった。 「うそう、そうそうそ、う、そう、そう、そうそ、うそ、うそ」 涙と、拒絶の声しか絞り出せない。 キャロの死と遺体の爆散にあれだけ怒り狂っていたティアナが、ただ悲しむことしかできない。 ジェットやチェスに向けていたような敵対心や殺意が、少しも湧いてこない。 どうして? 問いかけても、答えてくれる人はいない。 あの人なら、高遠遙一ならどうだろうか。 あの人ならきっと。 助けてくれる。 でも。 「スバル……スバル……スバルゥゥ――!」 今は全部はどうでもいい。 今はただ、悲しむことしかしたくない。 泣いて喚いて、親友の死を精一杯悲しみたい。 心の奥底から伝わってくる願望と欲求に、ティアナは身を委ねる。 ジェットとガッシュは、それを突っ立ったまま傍観し、まったく声をかけない。 「あんた……っ、どうしてぇ! どうしてあんたまで……わた、わたし、あんたが、あんたがいな、きゃ……」 泣いて泣いて泣きじゃくって、頬を涙の雫でぐしょぐしょにして、それでもまだ足りない。 何秒、何分、何十分とそうしていただろうか。 いつの間にか、ジェットとガッシュの側にミリアが加わっていた。 傍観者が三人となり、それでもまだ、ティアナは悲しみ続ける。 止める者は誰もいない。きっと止めてはならないと思ったのだ。 それくらい、今のティアナの姿は哀れだった。 (ああ、結局、いつだって私はこうなんだ) 表とは違って冷静な、上辺だけは冷静でいようという裏の意識が、己の生き様を顧みる。 幼い頃に両親が事故死、最愛の兄は殉職したうえに上司に無能と罵られる。 兄の汚名を晴らそうと同じ道を目指してみれば、周りは天才肌ばかりで劣等感。 その劣等感自体が間違いであったことにも気づかず、教官に叱咤される。 ようやく成長できたかと思えば、舞台が変わっただけでまた元の木阿弥。 わかっていたんだ。人殺しなんてなんの解決にもならない。ただの自己満足。 あの人の示す通りに道を開けば、不思議と安心できたから。つい縋ってしまった。 彼、高遠遙一は優しすぎたのだ。彼女の直接の教導官、高町なのはよりもずっと。 なのはは、ティアナに選択肢を与えてくれた。しかし高遠は、選択肢ではなく、直接答えをくれた。 より手っ取り早いほうに縋ってしまったのは、効率を重んじる二等陸士としての性か、それともティアナ自身の弱さか。 いずれであったとしても、もう結果は出てしまったではないか。 スバル、キャロ、エリオ、はやて――失ってしまった仲間たち。 犯してしまった殺人に、今さらの後悔を覚えている自分。 人の痛みを思い出してしまったから、辛い。 (私は……私は、こんな風にはなりたくなかった! なのに!) 全ては自分の愚かな判断ミス。教導官による修正は施されない。 自分の過ち。悔いる。嘆き。悔いる。悔いるのも、辛かった。 「……ごめんね、みんな」 死んでしまった機動六課の面々、 まだ生きているシャマル先生、 元の世界で自分たちを探しているであろう人たち、 もう一人の相棒クロスミラージュ、 自らが殺めてしまった剣持警部、 未遂とはいえ重傷を負わせてしまったジェット、 そして、こんな自分に救いの手を差し伸べてくれた高遠さん。 「本当にごめんなさい」 みんなに謝罪をして、ティアナは甲板に転がっていたナイフを拾う。 その切っ先を、喉元に刺した。 「ティ、ティアナ!?」 「おい!」 「来ないで!」 ぷっ、とほんの1ミリだけ傷ができて、赤く滲む。 これくらいじゃ死ねない。 もっと深く刺そう、と思い立ったところで、ジェットたちが声を荒げる。 「馬鹿な真似はよさぬか! おぬしがここで死んでどうなる!?」 「そうだよ! なにがあったかはよくわからないけど、死んじゃったらダメだよ!」 「ガッシュやミリアの言うとおりだ! ぐっ……怪我人に怒鳴らせるんじゃねぇ!」 「痛いでしょう!? 辛いでしょう!? あなたをそんな風にしたのはこの私! 私なのよ!」 両手でぎゅっと握り締めたナイフ。 震える手で、先端の刃を喉元に翳す。 祈るような直立姿勢で、三人と対峙する。 動けば刺す、と言わんばかりの格好で。 「駄目なのよ……私、いいことをすれば許されると思ってた……でも、駄目なの。 高遠さんが教えてくれた答えに縋っても、ちっとも楽にならない……辛いのよ! なにをどうやっても、全然心が晴れないの! 辛くて辛くてたまらないの! だから……だからだからだから」 死んで、楽になりたい。 そう声に出して言うつもりだったのに、断言できないでいる自分。 切っ先を翳すだけで、今一歩が踏み出させないでいる自分。 こういう点も含めて、ああこの子は弱い、と失意する。 こればっかりは駄目なのだ。 どんなに指導されたって、治りっこない。 ティアナが抱えるコンプレックスみたいなものが、死を駆り立てるまでに身を蝕む。 「――だから、死んで楽になりたい。ふん。死ねばいいじゃないか。ううん、むしろ死ねよ人形」 自殺志願者と、説得に臨む三人。予断を許さぬ場に、新たな来訪者の影が二つ。 その場にいた四人は、それを見て思わず息を飲んだ。 現れたのはチェス。そしてその手に掴んでいるのは、高遠の頭部。 さらに目で追っていくと……腹部を赤く滲ませている高遠の全姿が、チェスによって引きずられている。 高遠の醜態、チェスの乱暴な素振り、どちらも意外すぎて、誰もが言葉に出せないでいた。 「ジェットおじさん……お兄さんは、ううん、高遠遙一は自供したよ。 ティアナ・ランスターに殺人を教唆していたのは自分。 剣持警部を殺害させたのも、ジェットおじさんやミリアお姉ちゃんを殺させようとしたのも、 ぜ~んぶ……『地獄の傀儡師』高遠遙一の、崇高なる犯罪芸術の一環だってね!」 チェスから飛び出た証言に、名指しを受けたジェットのみならず、全員が驚愕する。 「自供!? 高遠が、本人がそう言ったってのか!? あとその『地獄の傀儡師』ってのはなんだ」 「高遠遙一の元の世界での異名さ。自らが殺人を犯すのではなく、他人に殺人を教唆し、人形に仕立て上げる。 そうやってできた人形を意のままに操ることから……地獄の傀儡師って呼ばれてるらしいよ」 「ま、まままマインドコントロールだね!?」 「まさか、高遠はゾフィスのように人の心を操る能力を持っておるのか!?」 「能力というよりは技術に近いよ。心理学や精神論に基づいたうえでの精神誘導。それがこの男の十八番さ」 チェスの言う高遠の正体は、作り話としては上手すぎる。 しかも現在のティアナの境遇を思えば、十分成立する話でもあった。 そしてこの言葉に一番の衝撃を受けるのは、人形本人である。 「高遠さん……本当、なんですか?」 語気弱く、チェスに髪を掴まれたままの高遠に尋ねる。 高遠は伏せっていた顔を僅かに持ち上げ、やつれた表情でティアナを見た。 「……フッ」 鼻で軽く一笑し、ティアナはそれだけで全てを理解した。 言葉としても、高遠自身の口から告げられる。 「ええ、その通りですみなさん。先ほどのチェス君の言は全て真実、剣持警部失踪から始まった諸々の情事は、私の仕業です」 死刑宣告と大差ないであろう言葉が、ティアナの身に重くのしかかる。 高遠の告白に関して、ジェットが訝しげな表情で尋ねた。 「……解せんな。この期に及んで、なんでおまえさんが全てを自供する? 罪が軽くなったりはせんぞ」 「心得ていますよ。いや……実を言いますと、絶望してしまいましてね。なにもかも……ほとほと疲れました。 私が今まで舞台だと思いこんでいた場所は、他人の畑。役者は全員、履歴書を偽装していたわけです。 これでは上手くいくはずがない……理解したら、過去の自分が急に馬鹿らしくなりましてね。 ……まぁ、金田一君の死も、ある程度は影響してるのでしょうか」 高遠も重傷の身であろうことは間違いないが、彼の語調は常と大差なかった。 それだけに、ジェットはますます憮然顔だ。高遠の遠まわしな説明だけでは、納得できていないのだろう。 「……ジェットおじさん、気がかりなのはわかるけど、もうこの男に後がないことだけは事実だ」 「いや、待て。高遠についてもそうだが……おまえのそれはなんだ? おまえ、本当にチェスなのか?」 「……それは、後で説明するよ。今は、それよりも」 来訪から今の今まで、チェスは子供特有の溌剌さを消し、陰を纏って喋っていた。 まるで別の人格に入れ替わったかのように、妙な風格がある。 そのままの風格で、チェスはデイパックを探り出した。 「ガッシュ。これ、君の本でしょう? 返しておく」 出てきた赤い本が一冊、ガッシュの下に放られる。 「これは剣持警部の荷物。危ないものも入ってるから、ジェットおじさんに預けるね」 出てきた別のデイパックが一つ、ジェットの下に放られる。 「それと……うん。これで、この事件もおしまいだね」 最後に、一振りのアゾット剣を取り出して、チェスはデイパックの紐を閉じた。 「チェスくん……?」 「チェス、おぬし……」 ミリアとガッシュの心配そうな声と瞳。 チェスは向き合わず、蹲る高遠を睥睨した。 「まさか……チェス」 チェスの行動の真意に気づいたジェットが、一歩踏み出す。 が、 「来ないで!」 チェスに制され、それ以上を踏み出せない。 声もそうだが、なによりもその手に握った剣が、頭上高く掲げられていたから。 誰もが理解し得る、単純な図式。 チェスが掲げた剣を振り下ろせば、直下の高遠は死ぬ。 「やめ……やめ……やめてぇぇぇ!!」 気づいた者の中で、先んじて待ったをかけたのがティアナだった。 涙声のまま、懸命に高遠の救命を懇願する。 だが、高遠の犯罪に本意ではないにしても加担していたティアナの言葉を、チェスが聞き入れるはずもない。 「今さら勝手なことを言うなよ! おまえたちが……おまえたちが滅茶苦茶にしてくれたんじゃないか! これは処刑! 罪を犯したおまえらは、揃ってここで死ぬんだ! ボクがこいつを殺したら、おまえも死ね! 自殺する勇気がないって言うんなら、ボクが殺してやる! おまえら二人とも、ここで終われ!」 生殺与奪の権利は、完全にチェスの手中だった。 だがチェス自身、振り上げた剣は望む結果ではないのか。 ティアナ同様、瞳からは大量の雫を零している。 ガッシュには、それが許せなかった。 ◇ ◇ ◇ 時系列順で読む Back グッドナイト、スイートハーツⅡ Next グッドナイト、スイートハーツⅣ 投下順で読む Back グッドナイト、スイートハーツⅡ Next グッドナイト、スイートハーツⅣ 217 グッドナイト、スイートハーツⅡ ティアナ・ランスター 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ 217 グッドナイト、スイートハーツⅡ ジェット・ブラック 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ 217 グッドナイト、スイートハーツⅡ チェスワフ・メイエル 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ 217 グッドナイト、スイートハーツⅡ ミリア・ハーヴェント 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ 217 グッドナイト、スイートハーツⅡ 高遠遙一 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ 217 グッドナイト、スイートハーツⅡ ガッシュ・ベル 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ 198 螺旋の力に目覚めた少女 アレンビー・ビアズリー 217 グッドナイト、スイートハーツⅣ
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アンデッドナイツ アンデッドナイツID+ゲーム名DARK ENERGY MAX ID+ゲーム名 _S ULJM-05530 _G Undead Knights DARK ENERGY MAX _C0 DARK ENERGY MAX _L 0x2018A8D8 0x000F423F _C0 Player Health Max _L 0x20001038 0xAE013D5C _C1 Enable for Player //必須コード _L 0x2006DF18 0x0E200400 _L 0x20001008 0x8E080030 _L 0x2000100C 0x3C097961 _L 0x20001010 0x35296C50 _L 0x20001014 0x1509003A _L 0x2000101C 0x3C014080 _L 0x20001028 0x3C014180 _L 0x20001034 0x8E013D60 _L 0x2000104C 0x24010001 _L 0x20001058 0x3C0142C8 _L 0x20001100 0x03E00008 _L 0x20001104 0xC48C0000 _C0 Player Armor Max _L 0x20001044 0xAE013D64 _C0 Player Health Max _L 0x20001038 0xAE013D5C _C0 Player Genocide Burst Max _L 0x2000105C 0xAE014070 _C0 Player High Jump _L 0x20001020 0xAE010230 _C0 Player High Speed _L 0x2000102C 0xAE010234
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こしろ ゆうぞう 日本で活動しているゲーム音楽作曲家。現在は株式会社エインシャントの代表取締役を務めている。 音楽家の母の子として生まれ、母親からピアノを習い、その他にもバイオリン、チェロを習う。 また、久石譲氏に師事し、音楽の手ほどきを受けた。 大のゲーム好きとして知られ、『ストリートファイターII』を基板ごと所有していたり、 『ドルアーガの塔』の音楽に惹かれ、電波新聞社刊の「ベーマガ」のサウンドコンテストに応募していた。 エインシャイント設立後は作曲だけでなく、ゲーム作品の企画や制作にも関わるようになる。 以前はオニオンソフト、日本ファルコムに所属していた。日本ファルコム時代の主な名義は「YK-2」。 ゲーム制作スタッフになりたくてファルコムへ行った際自作の曲を収録したカセットテープを持参した所、音楽スタッフとして即採用された。 高い楽曲センスで有名なファルコム社のゲーム音楽の基礎を作り上げた、同社を代表する人物であった。 現在同社で活躍しているFalcom Sound Team jdkは氏が退社した後に結成されたサウンドチームである。 彼の影響を受けたゲーム作曲家も多く、彼にあこがれて日本ファルコムに入社した作曲家の卵も多い。 使用するゲーム機の音源を最大限まで活用して作られる音のクオリティはそのハード全盛期と比較しても考えられないほどに高い。 特にクインテット開発の『アクトレイザー』(SFC)はそのあまりの音色のクオリティの高さからとんでもない逸話を持つ。 「キーボード・マガジン 2017年7月号 SUMMER」のインタビューで以下のように回想している。 スーパーファミコンが出たばかりのときは、みんなどうやってプログラムを作っていいか分からないじゃないですか。だから任天堂からサンプルのドライバーが提供されるんですよ。それを組み込んで、最初は作っていたんです。でもスーパーファミコンで新しくなった仕様を全く生かせてないことに、私がすぐに気が付いて。“なんでこのスペックなのにこの音しか出ないんだろう”と。その原因を探っていったら、スーパーファミコンに対してそのドライバーは貧弱だったんですよね。それをプログラマーに相談して、“これくらいのポテンシャルを持っているチップ”だったらこれくらいの音が使えるはずだから、メモリーを有効に使えるようにプログラミングし直してほしい”ってお願いして、作ってもらったんです。そのことによって、当時ほかのメーカーでは全く出せなかった音が出せるようになったんですよ。みんなその壁の前で諦めていたんですけど、それを超えて非常に高品質な波形が入れられるようになったんですね。それで『アクトレイザー』が作れた。だからプログラマーとは本当に二人三脚ですよね。それでないと、当時はいい音が出なかった。 この作品を聴いた植松伸夫氏は衝撃を受け、当時開発中だった『ファイナルファンタジーIV』(SFC)に使われる曲をサンプリングし直しているのは有名な逸話の一つであるが、この逸話に古代氏は以下のように答えている。 逆に言えば、そこで衝撃を受けて行動に出たのは、当時植松さんだけだったんですよね。普通は“すごいね”で終わっちゃうところを、変えなきゃいけない!って言ってチームを動かしたわけですからね。それはすごいと思います。 近年では「世界樹の迷宮」シリーズのBGMを担当していることで有名。 歯ごたえのあるゲームバランスと共に音楽も高い評価を受けており、ランキングにも多くの曲が上位にランクインしている。 作曲作品の一例 イースシリーズイース イースII 世界樹の迷宮シリーズ世界樹の迷宮 世界樹の迷宮II 諸王の聖杯 世界樹の迷宮III 星海の来訪者 世界樹の迷宮IV 伝承の巨神 世界樹の迷宮V 長き神話の果て 世界樹の迷宮X 新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士 世界樹と不思議のダンジョン 世界樹と不思議のダンジョン2 セブンスドラゴンシリーズセブンスドラゴン セブンスドラゴン2020 セブンスドラゴン2020-II セブンスドラゴンIII code VFD ロマンシア ソーサリアン ソニック・ザ・ヘッジホッグ(GG) ザ・スキーム ワンダラーズ・フロム・スーパースキーム ザ・スーパー忍 The GG忍 The GG忍II ボスコニアン(X68k) ザナドゥ・シナリオII ミスティブルー スラップファイト アクトレイザー アクトレイザー2 沈黙への聖戦 高橋名人の大冒険島 GAGE アイ・オブ・ザ・ビホルダー(MCD) スラップスティック(サウンドプロデューサー) ストーリー オブ トア ~光を継ぐ者~ トア ~精霊王紀伝~ バトルバ フォックスジャンクション シェンムー シェンムーII カルドセプト アニメチックストーリーゲーム(1)カードキャプターさくら 激闘!カーバトラーGO!! カイジュウの島 ~アメージングアイランド~ ドカポン・ザ・ワールド ナムコクロスカプコン 大都技研公式パチスロシミュレーター 吉宗PORTABLE(1曲のみアレンジ) うえきの法則 倒すぜロベルト十団!! 悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス ロストレグナム ~魔窟の皇帝~ オトメディウスG クリミナルガールズ 新・光神話 パルテナの鏡 パズドラクロス 神の章・龍の章 ベアナックルシリーズベア・ナックル 怒りの鉄拳 ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌 ベア・ナックルIII ベア・ナックルIV 湾岸ミッドナイトシリーズ湾岸ミッドナイト 湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 2 湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 3 湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 4 湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 5 湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE 6 まもって騎士 みんなでまもって騎士 姫のトキメキらぷそでぃ maimai 邪聖剣ネクロマンサー2 オトメディウスX(DLC) レイトンブラザーズ・ミステリールーム 時と永遠~トキトワ~ CODE OF JOKER ドリフトスピリッツ ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス 大乱闘スマッシュブラザーズX(編曲) 大乱闘スマッシュブラザーズ for NINTENDO 3DS(編曲) 大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U(編曲) 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(編曲) CHUNITHM PROJECT X ZONE 2 BRAVE NEW WORLD(主題歌) キラキラスターナイトDX RXN -雷神-(主題歌) 聖剣伝説2 SECRET of MANA (編曲) とある魔術の電脳戦機 モンスターボーイ 呪われた王国 16ビットリズムランド ダライアス コズミックコレクション(サントラアレンジ) アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実 メガドライブミニ(メニュー画面BGM) 198X ラクガキ キングダム ソルクレスタ 代表的な曲 FIRST STEP TOWARDS WARS (イース) TENSION (イースI 完全版) TO MAKE THE END OF BATTLE (イースII) 鉄華 討ち果て朽ち果て (世界樹の迷宮) 迷宮V 遺都シンジュク (世界樹の迷宮) 戦場 初陣 (世界樹の迷宮II 諸王の聖杯) 迷宮IV 桜ノ立橋 (世界樹の迷宮II 諸王の聖杯) 戦場 響く剣戟の調べ (世界樹の迷宮II 諸王の聖杯) 戦場 初陣 (世界樹の迷宮III 星海の来訪者) 戦乱 荒れ狂う波浪の果て (世界樹の迷宮III 星海の来訪者) 戦乱 剣を掲げ誇りを胸に (世界樹の迷宮III 星海の来訪者) 迷宮V 白亜ノ森 (世界樹の迷宮III 星海の来訪者) 戦乱 それぞれの正義 (世界樹の迷宮III 星海の来訪者) 戦乱 その忌むべき名を呼べ (世界樹の迷宮III 星海の来訪者) 戦場 疾風 (世界樹の迷宮IV 伝承の巨神) 戦場 己が信念を杖に (世界樹の迷宮IV 伝承の巨神) 戦場 双眸爛爛と (世界樹の迷宮IV 伝承の巨神) 戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て (世界樹の迷宮IV 伝承の巨神) 決戦 世界の行末 (新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女) 眠らずの戦場 (新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女) Reaching out for our future (新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士) 血戦 身命を賭して (新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士) 戦場 明日を掴むは死闘の先 (世界樹の迷宮V 長き神話の果て) 迷宮V 円環ノ原生林 (世界樹の迷宮V 長き神話の果て) 消えた王様の杖 ダンジョン (ソーサリアン) I LL SAVE YOU ALL MY JUSTICE (ザ・スキーム) フィルモア (アクトレイザー) 世界樹 (アクトレイザー) 捧げ物 (アクトレイザー) FLASH FLASH FLASH (ボスコニアン) すばらしき新世界 (ナムコクロスカプコン) いつかきっと、月光(つき)の下で (ナムコクロスカプコン) 迷宮-密林航行 (セブンスドラゴン) 外部リンク @yuzokoshiro インタビュー IGCC インタビュー 2083
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オヤジ よし、今日も「ミルク訓練」やるぞ。時間計るからな。 キョン はい。 オヤジ 目をつぶってできるようになるまで反復練習だ。下手すると火傷するから気を抜くな。 キョン はい。 オヤジ まず、手を洗ってこい。手順は「厚生労働省指針 手洗いマニュアル 外食・飲食業者篇」に準拠してある。 1. 水で手をぬらし石鹸をつける。 2. 指、腕を洗う。特に指の間、指先をよく洗う。(30秒程度) 3. 石鹸をよく洗い流す。(20秒程度) 4. 0.2%逆性石鹸液又はこれと同等の効果を有するものをつけ、手指をよくこする。(又は1%逆性石鹸液又はこれと同等の効果を有するものに手指を30秒程度つける。) 5. よく水洗いする。 6. タオルペーパー等でふく。 以上だ。 キョン はい。 オヤジ それから蒸し器に必要なものを入れろ。 キョン 広い口の哺乳瓶(ガラス製)、ゴム乳首(穴小さめ)、びんはさみ。入れました。 オヤジ よし、沸騰させて10分後に火を消すぞ。時間の感覚を体に叩き込め。 キョン はい。 ……(沸騰して9分後)…… キョン 火を消します。 オヤジ 早い!あと60秒もあるぞ。あせるな。 キョン はい。……(60秒後)……火を消しました。 オヤジ 開けるのは十分中が冷えてからだ。 キョン はい。 ……(蒸し器の中が十分冷えた後)…… キョン 開けます。 オヤジ まず、びんはさみを取り出せ。 オヤジ びんはさみで、哺乳瓶を挟んで、外に出せ。 オヤジ すぐさま瓶の中に熱湯を注ぐ。粉ミルク・メーカーは50度だ60度だとぬかすが、耳を貸すな。温度計をつっこむほど不衛生なことはない。 オヤジ 熱湯はまず定量の半分だけ入れろ。 オヤジ 粉ミルクの缶に付属のさじで粉乳を計って、瓶に入れる。 オヤジ 次に、ゴム乳首を、これもびんはさみで挟んで、蒸し器から出し、哺乳瓶に取り付けろ。 オヤジ よく振って粉ミルクを溶かす。 オヤジ かなり溶けたら、ゴム乳首をはずして、今度は定量まで熱湯を入れる。 オヤジ 体温に近い温度に冷えるまで待て。この時間も体で覚えろ。ガラス瓶を頬につけて温度を確認しろ。味見するなど、論外だ。ゴム乳首を赤ん坊がまだ接触してない細菌で汚染することになる。 キョン はい。 オヤジ まとめて数本、ミルクを作っておいて冷蔵庫保存してもいい。ただし電子レンジで暖めるときは、よく撹拌してから温度をみないと、表面は冷たくても中心部は熱い場合があるから気をつけろ。 オヤジ 母乳は、生後最初1週間は、せいぜい50ミリリットルしか出ない。赤ん坊一人でも少ない量だ。最初の1週間は赤ん坊の体重は微減していくのは理のあることだ。吸われているうちに母乳の量は増えていくが、双子分となるとそれでも足りないと考えていい。昔は、生母の他に、乳の出る女性が近くにいて相互扶助してた。日本では「もらい乳」というのがそれだ。現代社会では、まず望めん。産科病院で、よく出る母親の分を保管してシェアする試みをやったところもあったが、エイズが母乳からも感染することがわかって、どこでも中止された。なげかわしいことだ。だから粉ミルクを使うことになる。双子でもひとりづつ相手をするから、ミルクの準備は、キョンお前がやれ。普通、ここまで関われる父親は少ない。喜べ。 キョン はい。 オヤジ 大きな口のゴム乳首を使わないのは、そうすると哺乳瓶から飲む方が楽なんで、母乳を飲まなくなる、正確には母乳を吸い出す力を赤ん坊が失うからだ。 オヤジ 同様の理由から、母乳と粉ミルクの「混合」栄養でいく場合にも、一回の授乳は、母乳か粉ミルクか、どちらか一方だけにした方がいい。「母乳で足りない(赤ん坊がもっと欲しがる)場合は、つづいて粉ミルクを与える」やり方だと、赤ん坊は楽に飲める粉ミルクの方を待つようになって、母乳の方を次第に飲まなくなる。吸い方に熱心さが欠けてくる。赤ん坊に熱心に吸われなくなると、母乳の方も次第に出なくなる。同じ理由で出産直後は、まだ母乳は出やすい状態になってない。双子はさっきも言ったように未熟児で生まれることが多いから、当初は吸う力が十分でない。マッサージもしてもらうが、結局誰かに吸ってもらわないと、乳房がはってこない。だからキョン、最初はおまえが吸え。 キョン え、まじですか? オヤジ まじだ。育児に熱心な父親ならみんなやってる。最初は未熟児は保育器に入れられて、母親が先に退院って場合もある。赤ん坊が退院するまで何もしなけりゃ母乳は出なくなる。ちゃんと吸っていれば出るようになるし、出るようになれば搾乳器でとってミルクバッグに入れて冷凍もできるし、病院に持って行って赤ん坊に飲ませることもできる。おまえがやらないと誰がするんだ?誰かに代わりにさせられるのか? よく考えろ。 オヤジ ただし最初は乳首がなれてないので、長い時間吸うと乳首に傷がつきやすい。片方につき15分以上、両方で30分以上吸わせるのは傷つくリスクが高い。神経の集まってるところだから、傷がつくと、めちゃくちゃいたい。母乳育児をあきらめる理由のトップ3に入るほどだ。キズ自体は2、3日で治るんだがな。だから赤ん坊だろうが亭主だろうが、吸うなら10分以内で終えるのがベストだ。飲み終えるには少々時間が足りないが、これくらいの不足はしれている。 オヤジ あと、なれてない母親は、乳首だけを赤ん坊にくわえさせようとする。赤ん坊は頬をふくらませて、もっとダイナミックに吸う。乳輪あたりまで、指で赤ん坊の口に突っ込むのがコツだ。この方が赤ん坊も飲みやすく、また乳首も傷つきにくい。 ハルヒ こら、そこのふたり! 真夜中に台所で何盛り上がってんのよ!!しかも人の乳首をどーのこーの、と! オヤジ ミルクをつくる特訓と、母乳育児についてのライフ・ハックだ。 ハルヒ なにが、ライフ・ハックよ、エロ親父!、それにエロキョン! キョン おれもかよ!? ハルヒ あんたがいまどんな妄想に浸っているか、あんたの顔に書いてあるわよ、この搾乳萌え!! キョン 妄想でも萌えでもない。ただ、少しドキドキしただけだ。 できちゃったシリーズ できちゃった その1 できちゃった その2 できちゃった その3 できちゃった その4 できちゃった その5 できちゃった その6(最終回) できちゃった エピローグできちゃった 外伝ー教材仁義 できちゃった 外伝ーミッドナイト・ミルク
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